チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年11月22日
ゴロ、ラギャ僧院の屋上に大きなダライ・ラマ法王の写真とチベット国旗が掲げられる
ラギャ出身の南インド、セラ僧院僧侶ガンケགངས་སྐྱེས་が伝えるところによれば、11月20日の早朝7時半頃、アムド、ゴロ(青海省マチェン県ギュロ地区)、ラギャ僧院མགོ་ལོག་རྭ་རྒྱ་དགོན་པ་本堂の屋上に大きなダライ・ラマ法王の写真が掲げられ、その左右にチベット国旗がはためいたという。これらは非常に大きかったので僧院の外からもよく見えたという。また写真と国旗の下にはスローガンのような文字が沢山書かれていたというが、これらは読む事ができなかったそうだ。
この日はこの地方のカレンダーによれば、ゲルク派の創始者ジェ・ツォンカパが遷化した日として師の偉業を思い出し、家々の外に大量の灯明が灯されるガンデン・ンガムチュ( དགའ་ལྡན་ལྔ་མཆོད་ཆེན་མོ་灯明祭)に当たっていた。おりしも僧院には大勢の僧侶や一般のチベット人が朝から参詣に訪れ、多くの人がこれを目撃したという。
8時頃、これに気付いた警官と役人が僧院の屋上に登り、法王の写真と国旗は彼らが持ち去った。今のところ、この件に関し、拘束者が出たかどうかの情報は入っていない。
参照:21日付けTibet Times チベット語版http://p.tl/ErSe
22日付けphayl
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このラギャ僧院では2009年3月10日にも僧院の屋上に大きなチベット国旗が掲げられ、政治的パンフレットが配られるという事件があった。この時には、その後僧院が軍隊に包囲され、僧侶数人が拘束された。また、拘束された僧の内タシ・サンポ(28)が尋問中に拘置所から逃げ出し、近くの黄河に飛び込み自殺するという事態に至った。
これを知り町のチベット人が大勢抗議デモを行った。この時90人以上が拘束され、後にその内8人に1~7年の刑が言い渡されている。
参照過去ブログ:http://p.tl/K7ur
http://blog.livedoor.jp/rftibet/tag/ラギャ
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)