チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年10月28日
カルマ・カギュ派発祥の地で爆発事件
チベット亡命議会議員が伝えるところによれば、26日早朝、現地時間4時頃、チベット自治区チャムド地区ザギュ・カルマ郷(ཆབ་མདོ་རྫོང་རྫ་རྒྱུད་ཀརྨ་ཞང་チャムドの北約100キロ)の政府庁舎で爆発があり、建物の一部が破壊されたという。
現場の壁には赤く「チベット独立」と書かれており、辺りにはチベットの独立を求めるチラシが散乱していたという。
早朝であり、爆発による負傷者はいない。この日すぐ近くにあるザギュ・カルマ僧院རྫ་རྒྱུད་ཀརྨ་དགོན་པ་が武装警官隊により封鎖され、チャムドに通じる橋も閉鎖され、現在町全体が封鎖された状態という。
また、この町は仏具の生産で有名な土地であるが、これらのアトリエも閉鎖された。
容疑者は未だ特定されておらず、拘束者も今のところ報告されていない。
ザギュ・カルマ僧院はこの爆発に関わっているのではないかとの当局の嫌疑により、いち早く封鎖されたという。この僧院はカルマ・カギュ派の創始者であるギェワン・カルマ1世・ドゥスン・ケンパ(རྒྱལ་དབང་ཀརྨ་པ་སྐུ་ཕྲེང་དང་པོ་དུས་གསུམ་མཁྱེན་པ་1110~93)が1147年に創建した由緒ある僧院である。かつてはチベット最大の集会堂が建っていた。現在の僧侶の数は約500人。
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この事件に関し、亡命議会のババ・ケルサンはツイッター上で「テンジン・デレック・リンポチェの事件(冤罪爆発事件。参照:http://p.tl/tgh8 http://p.tl/Wxtq)もあるし、今回の爆発事件も当局がチベット人をテロリストに仕立てるために、仕組んだ可能性も考えられる」と発言している。
カルマ・カギュ派はチベットで最初に転生制度をはじめた派であり、現在のギャワ・カルマパはこの派のトップ、第17世である。
参照:RFA英語版 http://p.tl/br5g
Tibet Times チベット語版 http://p.tl/jcDY
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)