チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年9月27日

焼身自殺を行った2人が助かることを祈るキャンドル・ライト・ビジル

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Untitled-1_copy3今日(インドでは今22時)、焼身自殺を計ったキルティ僧院の2人の僧侶の写真(数年前のもの)。右がロプサン・ケルサン(18་བཟང་སྐལ་བཟང་)、左がロプサン・クンチョク(18或は19བློ་བཟང་དཀོན་མཆོག་)。

2人は今日(26日)現地時間午前10時頃、アムド、ンガバの中央市場の路上で、「ダライ・ラマ法王に長寿を!チベットに宗教の自由を!」等のスローガンを叫んだ後、ガソリンを被り自身を灯明と化した。

現地から報告された目撃者の証言によれば、「ほどなくして武装警官と公安が大勢駆けつけ、2人に水を掛けたり、消化器も使い火を消した。一人はすでに死んでいるようだった。2人ともその後すぐにどこかに連れ去られた」という。

DSC_5852以下の写真は2人の僧侶の命が救われますようにと祈るために、今夕、ダラムサラで行われたキャンドル・ライト・ビジル。

集会において、ダラムサラのキルティ僧院僧侶カヤック・ツェリンは「新華社によれば、2人は病院に運び込まれ死亡してはおらず、治療を受けているという。まだ希望はある」とみんなに伝えた。


DSC_5940情報を伝えるキルティ僧院僧侶カヤック・ツェリン。

彼はまた「今年に入り、これで4人もの僧侶が焼身自殺を行っている。これは如何に中国当局の弾圧が厳しいかを示している。ンガバ・キルティ僧院の僧侶は数千人からすでに数百人にその数が減ってしまった。5ヶ月に渡り毎日厳しい愛国再教育が行われている。我慢しきれず、世界にこの苦境を訴えるために焼身自殺した僧侶をそそのかしたとか、治療を妨害したと言って、仲間の僧侶3人に重い刑を与えたりもしている。このままではさらにこうした自殺者が出るかも知れない状況なのだ」と危機感を露にした。

DSC_5873焼身自殺したロプサン・ケルサンはンガバ・ゾン、メウルメ第2地区ザル出身ツェリン・タシの子供。3月16日に焼身自殺した僧プンツォの弟(義理の弟、甥、従兄弟、との別情報もある)。

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DSC_5910ドゥンドゥップ・ワンチェン(ドキュメンタリー・フィルム「ジクデル」の制作者。現在獄中)の妻ラモ・ツォ

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DSC_6118最後まで残り祈るツェワン・ドゥンドゥップ。彼は2008年のデモの際、銃弾に倒れた僧侶を助けようとして自分も脇腹と左手に銃弾を受け、仲間に助けられ、病院で一切治療を受けず1年以上も山の洞穴を転々としながら生き抜き、最後にインドに亡命した。

彼に話しかけ、彼ら2人のことをどう思うか?と聞いてみた。
ツェワン:「本当に悲しいことだ。どうにか2人とも生きていてほしいと思う。この世で一番大事なものは自分の命だ。その命を投げ出すということは大変なことだ。それほど、チベットの状況がひどいということだと思う。このままだと、また同じようなことが起こるかもしれない。中国とチベットは違うのだ。中国が出て行くべきだ。そうすれば、こんな悲しいことが起こる事もないのだ」。

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筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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