チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月25日
続報:拘束されたラプラン僧院僧侶ジグメ・ギャンツォ
続報と言うか、より詳しい拘束の経緯が今日のTCHRDリリースhttp://p.tl/BNRIと@freetibetorg
リリースで報告された。
僧ジグメは8月19日にツォエ(合作)で行われた文化祭にゲストとして招待されていた。この文化祭(チベットの有名文化人の「夜会」とfreetibetorgの方は呼ぶ)には有名なチベット人歌手シェルテンも招待されていたという。
イベント会場に僧ジグメが現れないので、弟子の僧侶2人が彼の滞在するホテルに様子を見に行った。午後7時頃ホテルに着くと、そこには大勢の警官がいて、彼ら2人は僧ジグメのいる部屋に入れてもらえなかった。警官は僧ジグメは部屋にいないと言った。しかし、2人は僧ジグメの声が部屋から漏れて来るのを聞いた。2人は立ち去るよう命令された。2人は部屋の窓越しに僧ジグメがベッドに横になっているのを目撃したという。
次の日の20日、午後5時頃(freetibetorgによれば21日の午後5時)、40名ほどの警官がラプラン僧院にある僧ジグメの部屋に押し入った。部屋からはダライ・ラマ法王の写真30枚(大10枚、小30枚)とパソコン2台が押収された。さらに、弟子たちの部屋、倉庫も捜索された。僧ジグメの兄弟の瞑想洞窟も捜索され、そこからもダライ・ラマ法王の写真が押収された。
20日の午後2時頃僧ジグメの部屋に再び私服警官が2人の軍人を連れて大勢現れ、翌朝21日の明け方まで彼をホテルに監禁していた。その後どこかに連れて行かれた。
在南インドの彼の弟子の一人であるゲドゥン・プンツォは「私の先生であるジグメ師が拘束されるのはこれで3度目だ。今回、師を拘束したのは地方警察ではなく、もっと上の警察のようだ。中国当局は今回、師を本気で逮捕するつもりと思われる。師は2008年に拘束され激しい拷問を受けた。その後、師は長く病院で治療しなければならなかった。母親がずっと付き添い看病していた。今回、当局が師をどのように扱うのか本当に心配だ。だから、私は世界中の自由と正義を愛する人々に対し、ジグメ師を解放することに手を貸して頂きたいとお願いする」と語った。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)