チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月24日
08年に拷問証言のビデオを制作した僧ジグメ・ギャンツォ、再び拘束される
ラプラン僧院の僧侶ジグメ・ギャンツォ(グリ、45)はこのビデオを制作し外国に送った。VOAを通じ世界中の人々が彼の証言を聞いた。この中でジグメ師は2008年3月22日に逮捕された後、当局によりどのような扱いを受けたかを詳しく語っている。
突然車に引き込まれ、頭に黒いずきんを被らされ、拘置所に連行された後、自動小銃を突きつけられ、「これはお前たちチベット人を殺すためのものだ。少しでも動けば、必ずお前を撃って殺してやる。死体をゴミ箱に捨ててやる。誰も気付きはしない」と脅される。その後2ヶ月間、彼は激しい拷問を受ける。天井から吊るされ意識を失うまで暴行を受けた。意識を失う度に病院に運び込まれ、意識が戻るとまた拷問を受ける。「まるで人を殴っているのではなく、ブタや犬を殴るような」暴行を受けたという。
彼は2ヶ月後に重体となり家族の下に返された。その後このビデオを制作し、そのために2008年11月、再び逮捕され、2009年5月初めに解放されていた。
そして、8月20日、ツォエ(合作)のホテルでまた拘束された。最近ラプラン僧院に中国側が選んだパンチェン・ラマが来たが、そのとき当局は彼に対し、僧院から出ておくよう命令したという。20日、彼が滞在していたホテルに大勢の保安部隊が現れ、彼の部屋に押し入った。仲間の僧侶10人と他数人のチベット人がこれを目撃していたという。
次の日には(TCHRDによれば、前日)ラプラン僧院の彼の部屋にも保安員が現れ、彼のパソコンやCD等を押収したという。
彼の行方は知れず、家族や僧院の仲間たちは非常に心配しているという。
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参照:8月23日付けRFAチベット語版http://p.tl/lB6V
8月24日付けTCHRDプレスリリース英語版http://p.tl/c0I1
日本語ブログ「雪の下の炎」http://p.tl/zKP4<この中にビデオの日本語訳あり。
追記:ウーセルさんも先ほど彼の件、ブログにアップされた。http://p.tl/QvLn 2006年にも拘束されていたと。今回で4度目。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)