チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年7月22日
雲南北部旅行その9:聖滝へ(後編)
聖滝へはレプバム(雨崩)村から行きが3時間、帰りが2時間ほど。登りも大したことなく、楽に美しい谷を楽しめるお勧めコースだ。
写真に写っている建物は下レプバム村のゴンパ(寺)。コースはここから後ろに写っている雪山の麓まで。
残念ながらゴンパにはカギが掛かっており、そばに誰もいなかったので入ることはできなかった。
ゴンパの屋根は板葺き入母屋で四隅が跳ね上げられている。
下レプバム村は上レプバム村と違い草原状の平地が多い。山から下りて来ると、村人たちが弓遊びをしてるとこに出くわした。10人ほどの男たちが小川を隔てたところに置いてある30センチ角ほどの板を狙っていた。距離約30メートル。10本に1本ぐらいが命中する。命中すると、奇声が上がる。1人だけ西洋式の弓を手にしていた。もっともその方が伝統的弓に勝つとは限らないようだった。
村の中にあった、これもゴンパと思われる、建物。
ゴンパの裏に白く塗られた円錐形の塔があったが、これも見たこと無いしろものだ。
仏塔の簡易形か?
白い塔を回ると、そこに小さな祠があり、中には石に彫られた我がジェツン・ミラレパが祀られていた。こんなところでミラレパに出会えたことを喜んだ。
この事からしてお堂はカギュ派に属すると思われた。こちらも、カギが掛けられており中には入れなかった。
スウェーデンの建築家ヨハネスはどうしても、村人といっしょに家作りを体験してみたかった。泥壁を突き固める作業を手伝う彼。でも、一緒に歌が歌えない。それと、すぐに手にまめができ、体力も続かず、数十分で断念。
「泥壁は防寒によくて、適度の湿気も与えてくれる。ぜひ今度スウェーデンで試したい」と言ってた。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)