チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年7月21日
カンゼで法王帰還と独立を求めるデモ続く/ キルティ僧院僧侶2人に実刑
先月初めに始まったカム、カンゼにおける一連の平和的抗議デモは数日に一度のペースで今も勇敢に続けられている。
20日付けTibet Timesチベット語版によれば、7月15日朝9時頃、カンゼの市場で3人のチベット人、ンガワン・プンツォ(ངག་དབང་ཕུན་ཚོགས་34)、ロサン・プンツォ(བློ་བཟང་ཕུན་ཚོགས་17)、サンペル・ドゥンドゥップ(བསམ་འཕེལ་དོན་འགྲུབ་21)がチベット独立、法王帰還などを要求する声を上げ、警官が逮捕、現在行方不明と。
同じ、デモに付いてと思われるが、19日付けRFA英語版では、ンガワン・プンツォンの姉妹(在スイス)がRFAに語った話として、彼は1人でデモを行ったとしている。彼は背中にチベット国旗をまとい、チラシも配ったと言う。
彼が逮捕されたことを知って、年老いた父親が着替えなどを持って警察に行き、彼の居所を尋ねたが、警察は父親を追い返すばかりであったという。
彼はかつて僧侶であり、インドに亡命し南インドのセラ僧院に学んだこともある。その後チベットに帰り、還俗、結婚、2人の子がいる。
彼はデモの前に家の近くにあるダルギェ僧院で供養を行い、そこの僧侶に「私は今までの人生の中で本当に意味のあることを為したことがない。しかし、今日は初めて何かよい事をするであろう」と語ったそうだ。
同じTibet Timesによれば、(同15日と思われる)同じくカンゼ市街でロサン・ルンドゥップ(བློ་བཟང་ལྷུན་གྲུབ་)ともう1人氏名不明のチベット人が平和的抗議デモを行い、警官に囲まれ、暴行を受け、逮捕されたという。
参照:
20日付けTibet Times チベット語版:http://p.tl/RH64
19日付けRFA英語版:http://p.tl/VLUV
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僧ロブサン・ケドゥップ
ンガバ、キルティ僧院僧侶2人に実刑
7月15日、キルティ僧院の僧ロブサン・ケドゥップ(བློ་བཟང་མཁས་གྲུབ་39)とロブサン・ギャツォ(བློ་བཟང་རྒྱ་མཚོ་37)にそれぞれ3年の刑期が言い渡された。
どの裁判所が決定した判決なのか、罪名は何かについては不明。
彼らは4月21日、多くの僧侶が逮捕されるであろうとの情報を聞き、他の僧侶たちと共に僧侶が逮捕されるのを防ごうと行動を起こした。このことが逮捕の原因と思われている。僧ケドゥップは5月4日、僧ギャツォは5月9日に僧院内で逮捕されていた。
僧ケドゥップは幼少のころ当僧院で出家し、勉学優秀で、現在は下級生への指導も行っていたという。
参照:20日付けTibet Times チベット語版:http://p.tl/ofy_
20日付けTCHRD英語版:http://p.tl/uIXx
20日付けRFAチベット語:http://p.tl/6LrY
僧ロブサン・ギャツォ
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)