チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年7月15日

雲南北部旅行その7:氷湖へ(後編)

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DSC_0503氷湖へ(前編)の続き。前回はレプバム(雨崩)村から氷湖に到る手前までの写真。
気持ちのいい草原を抜け、低木のシャクナゲの間をしばらく登ると、突然視界が開け目の前に氷湖とパボパモ(6000m勇者勇女)峰東の氷壁が迫る。


DSC_0535氷湖と呼ばれる氷河湖の辺りまで小さな氷河の上を歩いて行く。あまり縁まで踏み出すと、崩壊しそうだった。宿で見た写真ではもっと大きな湖だった。一般には地球温暖化により、ヒマラヤの氷河湖は増水しているといわれるが、ここは逆の現象なのかもしれない? 季節は今雨期だし。

DSC_0538ここはあの「日中合同学術登山隊17名(日本側11名、中国6名)登頂を目前に控えたキャンプ地で、雪崩の直撃を受けて全滅する遭難事故が発生。中国の登山史でも最悪の犠牲者数となった。」の登山隊が1990年末にベースキャンプにしたところでもある。日本側は京都大学隊であった。雪崩に飲み込まれ、その後長く全く遺体が確認できなかった。しかし、1998年以降、山麓を流れる氷河の末端から、雪面下に埋もれた後に氷河に流入した遺体や遺物が続々と現れた。現地の村人や捜索隊により、17名中16名の遺体やその一部、または遺品が発見・収容されているという。

DSC_0526記念写真はトレッキング仲間となった。左からスザナ(アメリカ)、ヨハネス(スェーデン)、リリー(アメリカ)。スザナとヨハネスはパートナー同士。スザナとリリーは上海近くの町で英語教師をやってる仲間。ヨハネスは建築家。リリーは東京で英語教師してたこともある。リリー曰く日本で好いものは「回転寿しと温泉」だそうだ。
3人とももちろんダライ・ラマ法王のことを知ってて、チベットについてうるさい位いろいろ質問してくる。で、チベット問題と仏教について道中たっぷり教育した(笑)。もう1人の連れだった中国人のハロだったかとの間には残念ながらそういう話はでなかった。

DSC_0546氷湖そばのモレーンの上から下を見渡すと通ってきた、小川のながれる、気持ちのよい台地が広がっていた。

DSC_0488ピンクのシャクナゲ

DSC_0558黄色いシャクナゲというよりツツジ。

DSC_0563日本の山や庭にあるのに似てるピンクのツツジ。今じゃ、世界中でシャクナゲやツツジは園芸種として人工交配とか遺伝子操作?とかされていろんな色や大きさのものが出回ってる。
ここに写ってるのはすべて本物の原種。

DSC_0581道ばたの花

DSC_0583道ばたの花

DSC_0587菌類の何か?潰れるとまるで卵の黄身のような液体が流れ出る。直径1cm弱。

DSC_0589菌類その2

DSC_0595アヤメの群生。ダラムサラの裏山で見かけるアヤメより余程背が高い。

DSC_0591村が近づくとブタが目立ち始める。この村ではブタを飼うのが当たり前のようだった。環境抜群の野原で放し飼いにされており、いろんな毛色の元気のいいブタ家族が走り回っている。ヨハネスは以前より犬でなくブタを飼いたいと思っているそうだ。曰く「ブタはソシアルな動物で人になつく。草食性なので肉をやらなくていい。犬より環境にもいい」からだそうだ。スェーデンではペットにブタを飼うのが流行ってるのかもしれないと思う。

DSC_0598村の近くの草原で一団のチベット人がテントを張りピクニックをしてた。どうも、本物の弓が沢山あったので、弓大会でもやっているらしかった。もっとも通りかかった時には、休憩中のようで、子供が弓を引いて遊び、これを大人が叱り、子供が泣きながらも弓に矢を装着し、近くにいた女の子に矢を向けようとしてるとこだった。

DSC_0619村に帰るころ雲が切れ山がやっと現れた。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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