チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年7月9日
ダライ・ラマ法王の誕生日、町中を香炉にして祝うカム、ダンゴとタウ
写真は去る7月6日、ダライ・ラマ法王の誕生日、カム、カンゼ、テホル・ダンゴ。
この日、地元のチベット人たちは秘密裏に示し合わせ、早朝、家々から盛大な香供養を行った。
町中が聖なる香炉と化したような不思議な風景。
この写真は今日付けのウーセルさんのブログhttp://p.tl/ljr0に掲載されていたものだが、元はドイツ在住のチベット人がfacebookに投稿したものらしい。
写真のダンゴでは今のところ武装警官隊が動いた等の情報は入っていない。
お隣のタウでもこの日同じように地元のチベット人が示し合わせ、「盛大な法王誕生会を行う」という話が伝わっていた。こちらは少々騒動が持ち上がった。
ウーセルさんのブログにはこの写真を見て非常に勇気づけられたという人たちのコメントが載せられている。
で、タウでは主に2カ所の聖域で焼香会が行われた。一つは大きな仏塔の周り、もう一つはマチェン・ポムリと呼ばれる丘。丘の麓には前の日からテントが並びそこに寝る人も多くいたという。6日の朝4時、地元の尼僧院ガンデン・ジャンジュップ・チュリンの尼僧約300人が中心となり、丘に登り、お経を唱え始めた。一般のチベット人たちも大勢丘に登り、その数約1000人と。
朝5時頃、丘の麓に銃を構え完全装備の武装警官隊約500人が現れた。これを見た尼僧たちは用意していたチベットの国旗を取り出し、丘の上で一斉に国旗を振りながらスローガンを叫び始めた。
「ダライ・ラマ法王に長寿を!法王のご帰還を!チベットに自由を!宗教の自由を!」等と。一時は下の武装警官隊との緊張が高まったというが、チベット人と武装警官が衝突したかどうかは2説あり今のところ不明。
一説には丘の上のチベット人たちは5時間にも渡って声を上げ続け、最後は尼僧院の院長が現れ事態を収拾したという。
参照:VOTチベット語放送
phayul.com :http://p.tl/09Zz
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)