チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年6月25日
カンゼで抗議デモ頻発
ンガバ・キルティ僧院への当局による弾圧が続いている中、今月に入りカム、カンゼで僧侶・尼僧による中国政府に対する抗議デモが続いている。21日にはこれに連帯を示すためにラサのパルコルでも1人のカンゼ出身の若い僧侶による抗議デモも行われた。
現在までに亡命側に寄せられた情報によれば:
まず、6月6日と7日、3人の僧侶がデモの後、暴行を受け逮捕された。
9日、ツェヤンという尼僧がデモを行った。
10日、昼12時ごろカンゼの中央市場でツィツァン僧院僧侶ゴヤン(30)が「ダライ・ラマ法王に長寿を! チベットに自由を! パンリ・リンポチェ以下全ての政治犯を解放せよ!」と叫んだ。彼は警官に激しい暴行を受け連れ去られた。彼の弟である23歳のロヤンも2008年、デモを行い3年の刑期を受けている。
同じ日、午後2時ごろランダック尼僧院の尼僧ジャンパ・ラツォ(25)とリンガ(20)が「ダライ・ラマ法王に長寿を!宗教の自由をチベットに!チベットに自由を!」と叫んだ。 同じく暴行の上、連れ去られた。
17日、カンガル僧院の僧侶リンチェン・ギャツォとラマ・ツェリンが「ダライ・ラマ法王に長寿を!チベットは独立国だ!チベットに人権を!」等と叫び逮捕された。
同じ日、カンゼの中心街では様々な僧院・尼僧院から17人の僧侶・尼僧が抗議デモを行った。ラムダック尼僧院の4人、ポモ・ショガ、ツェワン・ドルマ、デガ、リンチェン・チュツォ。ベリ僧院の3人、ペマ・ツェリン、ウーセル・プンツォ、もう1人は姓名不明。カンゼ僧院の6人。ギェツェ尼僧院の3人。カンガル僧院の1人。
その他、18日にも3人、19日に2人の尼僧と1人の俗人女性、20日に尼僧1人、21日にもデモが派生したというが詳細不明。
カンゼでは6月に入りすでに判明しているだけでも40人以上が逮捕されたという。
カンゼにおけるこの連続的抗議活動に対し、当局はカンゼの市民、僧・尼に対し、他の町への移動を許可制にし、病院に行くのも当局の許可がいるとしている。
22日にはラサのパルコルでカンゼ、ダルギェ僧院僧侶タシ・ツェワン(19)が抗議の声を上げた。彼は家族とともにラサに巡礼に来ていたが、カンゼにおける連続デモの話を聞くに及び、これに連帯を示すためにラサで声をあげたという。彼もすぐに駆けつけた警官に暴行の上逮捕された。
参照:TCHRD英語版/ RFAチベット語版/ VOT中国語版
http://www.tchrd.org/press/2011/pr20110613.html
http://www.tchrd.org/press/2011/pr20110620.html
http://www.rfa.org/tibetan/chediklaytsen/khamlaytsen/kham-stringer/tibetan-monk-from-dhargye-monastery-protested-in-lhasa-06242011124147.html
http://www.vot.org/text_simple.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)