チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年1月28日
チベット人強制移住計画・自治区だけでもすでに143万人
<チベット自治区だけですでに30万家族が「新地方(僻地)」プログラムにより移住させられた>
TibetanReview.net, Jan18, 2011
http://www.tibetanreview.net/news.php?&id=8156
新華社が1月17日、TAR(チベット自治区)主席ペマ・チュリンの発表として明らかにしたところによれば、自治区政府は2006年に始まった「新地方」プログラムの下でこれまでに約30万家族、143万人のチベット人遊牧民と農民を新しい定住セトルメントに移動させた。
この数字は現在ラサで開催中の自治区人民会議の席上、この5年間の成果として主席が報告したもの。
彼は2013年までに、さらに185、500家族が移住する(させられる)予定だと述べた。
一方、この政策に対し国連の食料権利特別調査員であるOlivier De Schutter氏は昨年末12月15~23日に行った現地調査の結果として「中国政府がチベットや内モンゴルで行っているこの政策は、遊牧民を家畜を売り移住するしかない状況に追いやっており、これは彼らの食料権利を侵すものである」と報告している。
アムドの遊牧民などは特に、「強制移住させられた最初の年にだけ政府から貰える補償金が尽きると、その後には空っぽのブロック製の家しか残らない。ほとんどの家族は生活の方法がない」と苦境を訴えている。
農民に対する新住居プログラムにも多くの問題がある。まずそれは強制的であり、農民は新しい家のために負債を抱えることになる。その新しい家も外観は良さそうにみえるが、中身は至って安普請である。このプログラムの目的は(環境を守るということより)チベット人をまとめてコントロールし易くすることと、プロパガンダに利用するためだけであるように思われる。
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これはチベット自治区のみの数字だ。
本当なら驚くべき数であり、自治区のほぼ全ての遊牧民と農民が移住させられたことになる。
このチベット人強制移住の問題については、
参照、過去ブログ:
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51256612.html
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51146681.html
ジェクンドではこの安普請の定住村の建物の下敷きになって多くのチベット人が死んでいる。
http://blog.livedoor.jp/rftibet/tag/%E9%81%8A%E7%89%A7%E6%B0%91
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)