チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2010年11月20日

チベット人に執行猶予付き死刑・2008年の抗議活動に参加したとして

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5ff527a8.jpg写真は死刑宣告されたソナム・ツェリン23歳
(CTA Websiteより)

11月20日付け、チベット亡命政府ウエブ・ニュース。
http://www.tibet.net/en/index.php?id=1993.&articletype=flash&rmenuid=morenews&amps&tab=1#TabbedPanels1

チベットの首都ラサの裁判所は、2008年の平和的抗議活動を先導したとして、1人のチベット人男性に対し2年執行猶予付き死刑を宣告した。

ダラムサラ:中央チベット政府(CTA,チベット亡命政府)に寄せられた報告によれば、チベットのカム地方、デルゲ、ペユル(སྡེ་དགེ་དཔལ་ཡུལ་རྫོང་ 白玉県)出身のソナム・ツェリン(བསོད་ནམས་ཚེ་རིང་ 23)に対し、ラサ中級人民法院は、今年5月頃執行猶予付き死刑を言い渡した。

罪状は2008年3月14日ラサで行われた中国政府に対する抗議活動を先導したというもの。

2008年3月の抗議活動の後、公安当局は賞金を掛けソナム・ツェリンの行方を追っていた。

報告によれば、2009年10月に逮捕されるまで、ソナムはラサ周辺で愛国的チベット人たちに匿われながら隠れ続けていたという。

現時点で、彼がどこに収監されているのか、はたして彼はまだ生きているのかどうか不明である。

同法院は、彼を匿ったとして7人のチベット人に様々な刑期を言い渡した。

7人の氏名と刑期は以下の通り。
ツェワン・ギュルメ(ཚེ་དབང་འགྱུར་མེད་ソナム・ツェリンの兄弟)に刑期5年、ペユル出身のタシ・チュドゥン(བཀྲིས་ཆོས་སྒྲོན་་)に7年、マルカム出身のドルヤン(སྒྲོལ་དབྱངས)に4年、コンボ出身のカヤン(ག་གཡང་)に7年、ラサの尼僧イェシェ・ツォモ(ཡེ་ཤེས་མཚོ་མོ)に5年、ラサ出身のタヤン(བཀྲ་དབྱངས)に5年、ラサ出身のパサン・ツェリン(པ་སངས་ཚེ་རིང་བ)に1年。

2008年3月10日以来、チベット全域でチベット人たちは中華人民共和国のチベットに対する失政を訴えるために立ち上がった。
平和的抗議者たちはダライ・ラマ法王のチベットへの帰還とチベット内地のチベット人に対する基本的人権の尊重を訴えた。

それに対する中国政府の野蛮な弾圧により、概算227人のチベット人が死亡し、6810人が逮捕され、その内510人に刑期が言い渡された。

最近出版された、2008年のチベット蜂起に関するUN、EU及び中央チベット政府(CTA)情報国際関係省人権デスクの詳細な報告書によれば、「死亡の原因は、或は抗議デモ最中の当局による無差別発砲によるもの、或は逮捕、尋問、拘留中の激しい撲打や拷問によるもの、或は弾圧や脅迫の積み重ねによる自殺によるものである」とされている。

さらに、これらの報告書によれば、「これまでに合計7人のチベット人が死刑を宣告された。その内、即時死刑を求刑された2人はすでに刑を執行され、5人は現在死刑猶予中または2年の執行猶予中である。
25歳のロプサン・ギェルツェン、同じく25歳のロヤックは2009年10月20日に死刑執行された。
他の死刑猶予中の5人とはテンジン・プンツォック(27)、カンツック(22)、ペンキ(21)、ペマ・イェシ(28)、ソナム・ツェリン(23)である。
これらの死刑宣告にいたる法的手続きはすべて、公平な裁判に欠け、独立した合法的代理人も付けられる事もないものであった」という。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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