チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年11月19日
2人のチベット人商人に重い刑が言い渡される。
11月11日付けTCHRD(チベット人権民主センター)プレスリリースより。
http://www.tchrd.org/press/2010/pr20101118.html
チベット自治区ロカ(山南地区)の中級人民法院はチベット人商人ソナム・バクドとタシ・トプギェルにそれぞれ15年と5年の懲役刑を求刑した。
ロカの公安当局は2人を2009年8月、政治活動の疑いがあるとして逮捕していた。
逮捕後、裁判にかけられるまで2人の消息は全く不明のままだった。
ソナム・バグドは1965年生まれ、出身地はツォナ県ジョルヤ郷。
中学を卒業後、彼は地区の共産党員となった。
商売に成功し、その資金で恵まれない学生を支援し、彼等の医療費も負担していた。
また地区の僧院への資金援助も行っていた。
彼は地区の人々から愛される模範的商人であり、県から「模範的市民賞」を授与されたこともあったという。
タシ・トプギェル(30)も同じツォナ権ジョルヤの出身。
彼は妻と子供に囲まれ、倹しく商売を営んでいたという。
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写真:TCHRD
今のところ、これ以上の情報は入っていない。
商人といえば、最近逮捕され無期懲役を言い渡されたラサの大商人ドルジェ・タシやカルマ・サンドゥップ(懲役15年)を思いだ出す。
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51492769.html
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51470405.html
懲役15年を求刑されたこのソナム・バグドも商人として成功し、チベット人を助け、人気があった。
彼もまた、体制内で活動していた。
このようなチベット人をターゲットにする、同様のケースではないかと思われる。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)