チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年11月12日
チベット亡命政府次期首相予備選、若いロサン・センゲ氏が断然リード
亡命政府の次期首相を選出する予備選挙の結果が今日発表された。
今日は日本の故郷である広島で「ノーベル平和賞サミット」が開催されたが、この方のニュースは国内の方に任せる事にして、私はダラムサラや本土チベットのニュースに専念。
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<予備選でロサン・センゲが断然リード>
phayul.com:
http://drichu17.phayul.com/news/article.aspx?id=28545&article=Dr+Lobsang+Sangay+holds+strong+lead+in+preliminary+polls
ハーバード・ロー・スクールの研究員、ロサン・センゲ博士が先月10月3日行われた首相予備選を断然リードした。
彼は2番手を1万票ほど離し、22489票を獲得。
選挙登録者79449人の内、実際に投票したのは47000票を少し越えたほど。
投票率約61%。
この予備選で50%以上獲得した者がいなかったので、規定に従い来年3月20日に上位6人による決選投票が行われる。
(もっとも、ロサン・センゲは約48%を獲得している。)
2位は元首相テンジン・ナムギェル・テトン、12319票。
以下。
3位、前議会副議長ギャリ・ドルマ女史、2733票。
4位、元大臣タシ・ワンドゥ、2101票。
5位、(元ダライ・ラマ法王内務個人秘書官)ロプサン・ジンバ、1545票。
6位、(元首相)コラツァン・ソナム・トプギェル、605票。
選挙管理委員会は同時に、第15期の亡命政府議会議員の予備選結果も発表した。http://tibet.net/tb/2010/11/12/གསལ་བསྒྲགས།-7/
こちら、各3地域(ウツァン/カム/アムド)ごとに50名の候補者、及び4大宗派ごとに10人の候補者の名が発表された。
来年3月に行われる最終投票により第3代目の直接選挙による首相、及び第15期の亡命政府議員が決定される。
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ネパール政府が無理やり奪って行ったネパール在住チベット人の投票箱は結局取り返すことができず、この選挙結果には反映されなかった。
また、ブータンからの票も入ってないというが、これはどういった事情なのか、不詳。
それにしても、こんなにロサン・センゲ氏が圧勝するとは、私にはちょっと予想外。
新しい風を求める若者層がどっと彼に票を入れたと思われる。
私は2位のテトン氏ともっと競ると思ってた。
ほぼ、50%なので本選もこの勢いで当選確実と思われる。
彼はまだ42歳。
彼はもちろん、中道路線を擁護しているが、若者を中心とする独立派の勢いがこれから強くなると思われる。
対中国において、より強行な路線が求められるかも知れない。
長老派との対立も考えられる。
法王は来年には政治的には完全引退すると表明されている。
来年からチベット亡命政府の雰囲気が、がらっと変わるかも、、、?
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)