チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年10月30日
チベット人作家3人の裁判が行われる
写真は1枚目:彼等が逮捕されるきっかけとなった雑誌シャル・ドゥン・リの表紙。
2枚目:ブダ
3枚目:ザンツェ・ドゥンゴ?
4枚目:ケルサン・ジンパ
“シャル・ドゥン・リ”とは、東方のホラガイのような雪山のこと。ホラガイは召喚や啓蒙を意味する。
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10月29日付けRFA(チベット語版):
http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/tibetan-writers-in-aba-were-put-on-trial-10292010204139.html
<チベット人作家3人の裁判が行われる>
10月28日、アムド、ンガバ(རྔ་བ་)地区バルカム(འབར་ཁམས་馬爾康)の中級人民法院はチベット人作家3人の裁判を行った。
当放送局にチベットから寄せられた確かな情報によれば、28日、アムド、ンガバのチベット人作家ブダ(བུད་རྡ་)、ザンツェ・ドゥンゴ(འཛང་རྩེ་དོན་ཁོ་ )、ケルサン・ジンパ(སྐལ་བཟང་སྦྱིན་པ་)に対する審議が非公開でたった1日の内に行われたという。
しかし、裁判には3人の弁護人の出席と家族数人の傍聴が許された。
さらに、それぞれが罪状認否の機会を与えられた。
裁判長が3人に「国家分裂罪」の罪状を認めるか?と問いただした時、3人は無罪を主張し、雑誌に記事を書いたことが罪になるとは思わないと語った。
さらに、(ブダは)「書いた内容は中国の例えばバンリシュン(ལྦང་ལི་ཞུང་)とかユゼ(ཡུས་ཇེ་)等多くの作家が書いていることだ、しかし彼等は罰せられていない。もしも、我々が少数民族が故に罰せられるとすれば、それは法の下にすべての人民が平等でないことを表すことである」と中国語ではっきりと発言した。
同じくザンツェ・ドゥンゴとケルサン・ジンパも同様の発言をチベット語で行ったが、通訳は内容をすべて伝えていないようだったという。
2人は最初からもう一度通訳をし直すことを要求したが、裁判官はそれを許さなかった。
半日の間審議を行った後、裁判所の役人が「数日後に審議の結論が発表されるであろう」と伝えた。
この3人のチベット人作家は今年6月と7月に、雑誌シャル・ドゥン・リの中に2008年度のチベット人抗議運動についての記事を発表したことで、逮捕・拘留されていた。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)