チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年7月25日
カム、ナクチュ:ダライ・ラマ法王と活仏について連絡を取ったとして僧院長が拘束、僧侶が僧院を追われ、老僧が自殺。
カム、ナクチュ:ダライ・ラマ法王と活仏について連絡を取ったとして僧院長が拘束、僧侶が僧院を追われ、老僧が自殺。
7月23日付RFA(チベット語)
http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/tibetan-lama-deposed-for-consulting-the-dalai-lama-07232010220241.html
Phayul(英語)
http://phayul.com/news/article.aspx?id=27804&article=Tibetan+lama+deposed+for+consulting+Dalai+Lama%2c+monks+quit+in+Nagchu
現地と連絡を取った亡命中のガワン・タルパ氏が7月17日明らかにした情報によれば:
カム、ナクチュ地区にあるシャク・ロンポ僧院(ཤག་རོང་པོ་དགོན་)の僧侶17人が愛国再教育セッションの結果僧院を追放された。
まず、5月17日当僧院の僧院長であるダワ・リンポチェ(75)以下4人の僧侶がラサで警察に拘束された。
これはダワ・リンポチェが僧院の第5世ロンポ・チュゼの生まれ変わりを捜索するにあたりダライ・ラマ法王と連絡を取ったからだという。
4人の内ガワン・トクメ(35)はダライ・ラマの写真を所持していたとして2年の懲役刑を言い渡された。
ダワ・リンポチェは一カ月後に解放されたが、それ以来自宅で軟禁状態にされている。
リンポチェが拘束された後、僧院には約150人の武装警官と約50人の役人が押し掛け、ダライ・ラマとダワ・リンポチェを糾弾するための愛国教育セッションが続いた。
逮捕と僧院追放という脅迫の下に僧侶たちはダライ・ラマを非難する書面にサインと拇印を強要された。
その間にジャンパと呼ばれる僧侶は強要に耐えきれず精神に異状をきたし、錯乱状態の中意識を失い、
タシ・テンサンと呼ばれる僧院の戒律師も錯乱状態となり僧院を離れた。
その他17人の僧侶がサインを拒否し、僧院を追放されたという。
また、5月20日、僧院の70歳になる老僧ガワン・ギャツォが脅迫に耐えきれず自殺した。
老僧は遺書を残したが、その遺書は当局により取り上げられた。
その上当局は僧侶たちに対し、彼の自殺を外部に漏らしてはならないと命令したという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)