チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2010年4月27日

今日は法王を導師と仰ぎ、ダラムサラ中の人が被災者のために祈った

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27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk今日は午前中「テンシュク(ダライ・ラマ法王の長寿を祈願する法要)」、午後「地震被災者へのモンラム(祈祷会)」がダラムサラのツクラカンで行われた。
今日は四十九日の内、第二週目に当たる。

法王は今日は、特別な話をされることもなく、(バンドエイドを張られた手を合せ)一日中祈っておられた。

今日は近年、これほどツクラカンに人が集まったことはなかっただろう、と思われるほど、沢山のチベット人が集っていた。
その数およそ4000人か? ダラムサラの全チベット人の半分は参加していたということだ。

次から次へと色んなお経が唱えられる。
みんなにも最初にちゃんとテキストが渡されていたので、今日はみんなの声も大きかった。
4000人の大合唱だ。

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk日本人はお経を渡されても、僧侶と一緒に唱えることのできる人は少ない。
チベット人でお経の読めない人はいない。
ちゃんと意味も、完全ではないが、解る。
お経は日本と違って、今も変わらぬチベット語で書いてあるからだ。
チベット人ほど経を読むのが好きな人種もいないであろう。

私も今日は、写真も撮ったが、沢山一緒に様々なお経を読んだ。
個人的には、祈願のお経の中では「サンチュ・モンラム(普賢行願讃)」が一番好きだ。
この短い祈願文はもともと「華厳経入法界品」に含まれるが、チベットではこれだけを取り出して唱えることが多い。

今は亡き、日本を代表する仏教学者の一人、山口益先生の訳で、このお経の始めの部分だけを以下に書き写す。

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk十方のあらゆる世界の中の
三世の一切の人中の獅子なるもの
わたしは、清浄な身口意の業(行為)をもって
そのすべてを礼したてまつります。

”普賢の行と讃”の力によって
わたしは、そのすべての如来の御前において
国土の塵の数ほどの身を現わし
一々の身をもって、普く国土の塵の数ほどのみ仏を礼したてまつります。

一塵の頂にも塵の数ほどの数多のみ仏が
菩薩衆にかこまれておわします。
全法界もまたしかり。
諸仏はそこに充ち満ちてましますと、わたしは深く信じます。

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshukそのおのおののみ仏に、わたくしは一切の音声の海をもって
普く無尽の妙なる言葉を出し
未来の一切の劫をつくして
その甚深の海を讃嘆したてまつります。

わたくしは、業と煩悩と悪魔の世界と
世間の種々の迷いの境界から解脱しました。
どうか、蓮華が水に汚されないように
また、太陽や月が虚空に止らず、運行するように行じましょう。

あらゆる悪道の苦しみを除くことによって
すべての生あるものに等しく安楽を与え
そのようにして国土の塵の数ほどの劫を経て
十方の衆生を利益して尽きることがないようにしよう。

わたくしは、常に諸々の生ある者の行いに応じて行動し
未来永劫に尽きることなく
常に”普賢の広大なる行”を修し
この上なく勝れた菩提(さとり)を円満しましょう。

以下略

ーーーーーーーーーーーーー

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk今日は法王の写真を沢山載せる。
クリックすればさらに大きくなるぞ。

亡くなられた方々の冥福を祈ると共に、
被災者の方々の苦しみが少しでも軽減されることを、
心から祈る。

ヒマラヤを越え、みんなの祈りがジェクンドに届きますように。

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshukそうそう、わたくし事で言う必要もないが、、、
今日は特別嬉しいことがあったのだよ。

法要が終わり法王が本堂からお出になったとき、自分は写真を撮ってたが、あまりに法王が目の前に来られたので、思わずカメラを下ろした。
法王と目があった。
法王は「トポ・ニンバ(old friend) ハハハ、、、」と声を掛けて下さり、(もう短くなってしまった)あごひげを引っ張られた。

みんなの笑いを取るためだ。

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk
まったくここに集まっているみんな、首には法王から頂いた赤いお守りのひもを巻き、頭やひげを法王に、たたかれたり、引っ張られたりすると、大喜びするとは、まさに中国の言うところの「ダライの犬」そのものだわい。ヒヒヒ、、、

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk

27.4.2010 Dharamsala Tsuklhakan Tenshuk

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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