チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年4月19日
セルタで小学生30人が抗議の後、拘留される
TCHRD(チベット人権民主センター)の4月15日付プレスリリースによれば、
http://www.tchrd.org/press/2010/pr20100415.html
(以下要訳)
カム、カンゼ・チベット族自治州セルタ(セタ・色達)ではここ数カ月の間に8件の個人やグループによる中国政府に対する抗議活動が行なわれ、逮捕者も出ている。
当センターに寄せられた情報によれば、4月8日、中国の公安は先に抗議活動により逮捕されていた二人の僧侶をトラックに乗せ、セルタ市内を引き回しにした。
この引き回しは、この地方では市民を怖がらせるために度々行なわれている。
報告によれば、公安は僧侶を引き回す間に、みんなが見ている前で二人に酷い暴力を加えたという。
引き回しのパレードがカル小学校にさしかかったとき、生徒たちは公安の僧侶に対する侮辱と暴力に抗議の声を上げた。
小学生たちは公安の車に石を投げ、スローガンを叫んだ。
公安の車のガラスが割れ、もみ合いの最中数人の公安がけがをしたという。
その後、小学生たちは学校の塀や先生の机の上にチベットの独立を求めるポスターを張った。
この騒動の後、カル小学校の30人の生徒が拘留された。
その多くは間もなく解放されたが、その内の10人は今もなお拘置されたままだという。
この10人については、親が「もう二度と子どもにこのようなことをさせない」という誓約書と、2000元の罰金を払わない限り解放しないと発表された。
子どもたちは今、セルタの公安拘置所に入れられている。
生徒の中でドンユと呼ばれる16歳になる小学5年生だけは学校を退学させられ、しつけが悪かったとして親には一万元の罰金が科されたという。
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再び小学生が声を上げたという事件だ。
しかし、チベットの小学生(と言っても15歳ぐらいまで)は勇気があるね。
目の前にいる公安隊を恐れず?に石を投げるとわ!
小学生に石を投げられてもあたり前のようなことをやっているからだと思う。
市中引き回しと言えば、このジェクンド地震の後にもこの引き回しが行なわれたという。
引き回されたのは壊れた商店から食糧を盗み出したチベット人数人だ。
これを、現地に入った外人記者が報告しているのだが、彼はこれを見て、「まるで文化大革命の時代にいるようだ。こんな緊急時にそんなことをしている中国当局の気が知れない」と思ったそうだ。
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前回のブログの初めに紹介した写真サイトについて:
http://picasaweb.google.com.au/aenpokyabgon/AllKyegu2010EarthquakePhotos?feat=directlink#
一つだけ説明を加える。
写真の中には火葬にされる前の遺体が沢山写っている。
これらの遺体のほとんどが裸であることについて、違和感や非難の感覚を持たれる方もあるのではないかと危惧して一言。
遺体を回収した僧侶たちは最初、遺体を鳥葬にするつもりだった。
しかし、結局禿鷹の数に対し死体の数があまりに多すぎるということで、鳥葬を諦め火葬にした。
鳥葬場に持って行く前に遺体は裸にされ、布にくるまれる。
だから遺体は裸なのだ。
それにしてもこの仕事を引き受けた僧侶たちはすごいと思う。
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追記
犠牲者の数1944人と発表された。
123時間後、奇跡的に4歳の女の子と年配の女性が救出された!
まだ、瓦礫の中には生き続けている人たちが必ずいる。
中国当局は明日の20日までに被害調査を終了すると言う。
青海省当局は今日、今回の被災地ジェクンド全体を移動させ”plateau ecological tourist centre”に変えるという計画を発表した。
http://jp.f301.mail.yahoo.co.jp/ym/ShowLetter?MsgId=4013_32034228_4398938_4707_1711_0_173909_3311_1612280786&Idx=2&YY=90625&inc=25&order=down&sort=date&pos=0&view=a&head=b&box=Inbox
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)