チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2010年4月19日

ダライ・ラマ法王をジェクンドにお迎えしよう。

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f0e87c58.JPG現地からは沢山の写真が送られて来ました。
中には生々しい写真も多いのでお気を付けください。
写真441枚:
http://picasaweb.google.com.au/aenpokyabgon/AllKyegu2010EarthquakePhotos?feat=directlink#

苦しみと悲しみの最中にある、現地のチベット人被災者たちの中から、ダライ・ラマ法王にお会いしたい、との願いが湧き起こり、広がっている。

法王もそれに答え、「叶うものならすぐにでも行きたい」との思いを表明された。

まさに引き裂かれた親子のようだ。
これを実現させるためには困難な壁がいくつもあり、容易ではない。
しかし、法王はその実現のために努力するとおっしゃった。
北京にすでに要請されたという。

そこで、外野からもこれを応援しようという声が世界のサポーターから上がっている。

以下はITSNからの提案だ。

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皆様

TSGのML内でもすでにご覧になった方もいると思いますが、ジェグンド(中国名:玉樹)のチベット人からの法王様の被災地訪問を乞う嘆願書が発表され、そして法王様からは本日付けで被災地への訪問を熱望しているとの声明が発表されました。
(両声明の全文はメール下段)

ITSNでは全メンバー団体にジェグンドのチベット人による嘆願書の内容と以下のような短い声明とともに、メディアに発表されることを強く要請します。
(必要に応じて文章を各自アレンジしてください)

(日本の場合)「鳩山首相。言葉にできない苦しみの中にある被災地、チベットのジェグンド(中国名:玉樹)の人々のもとへ、ダライラマ法王が訪問できるよう、首相から中国指導者に直接、可能な限りの働きかけをしてくださることを切にお願いします。」ー同様の意味合いの言葉でどうぞ。
さらに法王様の声明とジェグンドのチベット人被災者による嘆願書を、皆様の国の議員、外務省関係者や外務大臣にも送り、同様の緊急要請を行ってください。

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「ダライ・ラマ法王の被災地訪問嘆願書」

中国語原文:http://news.boxun.com/news/gb/china/2010/04/201004160551.shtml
チベット語訳 http://www.tibettimes.net/news.php?id=2557
英語訳 http://blog.studentsforafreetibet.org/category/media-coverage/reports-from-tibet/

ジェクンド(玉樹)被災地の人たちが胡錦涛総書記及び温家宝首相に送った手紙
(北京時間2010年4月16日に投稿されたもの)


拝啓
胡錦涛総書記、温家宝首相

 私たちが大地震の被害を受けた時、あなた方共産党中央政府がすぐに軍隊を派遣し社会のさまざまな団体が全力で被災者救援に駆け付けてくれたことに、私たち被災地住民は心から政府に感謝し、政府の支援に感謝します。

 しかし私たちは仏教に深く帰依する者の集まりです。私たちは仏陀の教えに先祖代々従い、ギャワ・リンポチェダライラマ法王睨下に篤信を抱いています。今回、私たちはこのような大地震に遭い、心身ともに深く苦しんでいます。私たちの喫緊の願いは、ダライ・ラマ法王に被災地を訪れていただき、既に亡くなってしまった人々を安寧な来世に導き、私たち傷つき残された者に情をかけていただくことです。
 このたびの災害に、尊敬する胡主席と温首相が慈悲の心をもち、私たち被災者の心情をくんで願いを聞き入れて頂きたいのです。私たち十万人を超える被災者はあなたがた共産党中央政府がダライ・ラマ法王との確執を一時忘れ、私たちの心よりの願いを叶えて頂きたいのです。

 私たちのダライ・ラマ法王をお招きしたいという思いは、ひとえにダライ・ラマ法王に亡くなられた方々を見送って頂き、残された者達の心を癒して頂きたいという、純粋に宗教的な心情に由来するものであり、他意は全くありません。

 今、ダライ・ラマ法王が被災地を訪れられ、祈祷の法要をされ、被災者を慰問されることのみが、私たちの傷ついた心を実際に癒すことができるのであって、他に方法はないのです。

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ダライラマ書簡

 地震発生後まもなく申し上げた通り、カムのケグドゥ(ジェクンド、中国青海省玉樹チベット自治州)で発生した地震により多くの命が失われ、多数の重傷者を出し、大きな被害が起きたことを深く悲しんでいます。離れた地にいるため、直接にご遺族や被災した方々の心を癒やすことができませんが、私が祈っていることを、どうか知っていてください。

 被災地で僧侶や若者、その他多くの人々が、何もかも失った家族を支え助け合っている姿を誇りに思います。慈悲の心が育っていくことを願っています。他者への無償の行為は、菩薩の願いの実践でもあります。

 また、中国政府の対応に感謝します。特に温家宝首相は、被災地を訪問して地域住民を力づけたほか、自ら救出活動の指揮を取っていただきました。この惨事と経過をメディアが自由に報道できていることにも、深く感謝しております。

 2008年、同規模の四川省大地震が起きた際、中国当局と地方政府の指導者や関係機関は、救援の手を届けるためにたいへんな努力をしてメディアを自由に行き来させ、必要であれば国際救援機関の立ち入りのために道を作りました。そのような前向きな決定を高く評価するとともに、今回も、被災地へのアクセスに関して同様の配慮をお願いいたします。

 亡命チベット人コミュニティーは、被災者救援のためのいかなる支援や援助も惜しまない覚悟でいます。可能な限り迅速に正式な機関を通じて支援したいと願っています。

 2年前に四川省を大地震が襲った際、被災地を訪問し傷ついた人々のために祈り、心を癒したいという願いはかないませんでした。しかし昨年、台湾が台風災害に襲われた際には、被災地を訪れて災害の犠牲者のために遺族と共に祈ることができました。悲しみにくれる人々を少しでも慰めることができたことを、嬉しく思っています。

 今回の地震が起きたケグドゥ(玉樹)はアムド(青海省)にあり、私と先代のパンチェンラマが生まれた土地です。その地に暮らす人々の願いに応えるため、悲しみに暮れる人々の心を癒やすために、被災地を訪ねたいと強く願っています。

 最後に、諸外国の政府、国際救援機関やその他の関係機関に対し、今回の災害で何もかも失った被災者の家族たちが立ち直るために必要な、可能な限りの援助と支援を要請いたします。同時に、この大災害の犠牲者遺族に対しては、すべて起こったことは因果に従うものだと受け止め、逆境を善行の機会に変えてほしい。希望を保ち、失ってしまったものを取り戻すため、苦境に対し勇気を持って立ち向かうことを願います。

 最後に、もう一度申し上げます。亡くなった方々と遺族の方々のために、私は祈り続けています。

2010年4月17日 ダライラマhttp://www.tibet.net/en/index.php#

(翻訳:若松、藤田、中原)

ーーーーーーーーーーーーーーー

Mandie McKeownより

Campaigns Coordinator, International Tibet Support Network

mandie@tibetnetwork.org, campaigns@tibetnetwork.org

www.tibetnetwork.org

+44 7748 158 618

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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