チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2010年4月3日

9人のチベッタン・ヒーロー解放運動

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今、日本にはテンパ・ツェリンさん、ジェツン・ペマさんご夫妻が訪問中ですね。

2日のテンパさんと石濱先生の講演、3日のジェツン・ペマ女史の講演に参加された方も多いことでしょう。

テンパ・ツェリン氏とジェツン・ペマ女史ほど、この亡命社会を外に紹介するに適した夫婦はいないでしょう。
仲がいいし。
二人はその抜群の教養、経験、実績、人柄により、この亡命チベット人社会からだけでなく、世界からも格別の尊敬を得ているのです。

で、お二人をあれほどの人格に育て上げたのは、法王とチベット人の悲惨な状況です。

ですから、会に参加された人も、そうでない人もチベットの過酷な監獄に今も繋がれている良心の囚人たちを解放する運動にご協力ください。

実際今までに署名運動が実を結び、少なくとも5人のチベットの政治犯が解放されているのです。
無駄なことではないのです。
減刑されたものは10人以上です。

http://www.savetibet.org/action-center/political-prisoners-ict-successes

現在行なわれているテンジン・デレック・リンポチェ解放要求書への署名は以下のサイトより
http://www.freetibetanheroes.org/home.php/profiles/tenzin-delek-rinpoche/petition
日本語版
http://freetibet.holy.jp/2010/01/
参考
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51377516.html

現在どれほどのチベット人政治犯が獄に繋がれているのかは不明だ。
その中からITSNは解放の望みがあると思われる9人の勇者を選び、一年半に渡り彼らの解放を目指したキャンペーンを行なう。
http://www.tibetnetwork.org/politicalprisoners
現在はテンジン・デレック・リンポチェを中心に行なわれている。

以下、この9人を簡単に紹介する。

ドゥンドゥップドゥンドゥップ・ワンチェン 刑期6年
2008年、チベットでオリンピック、ダライ・ラマ、中国政府の政策について一般のチベット人にフィルム・インタビューを行なったとして6年の懲役刑を受ける。
中国政府は未だ公式にドゥンドゥップ・ワンチェンへの求刑について発表していないが、亡命政府とRFAは2009年12月28日に判決が言い渡されたことを確認している。
親戚によればドゥンドゥップ・ワンチェンは上告を行ったという。
http://www.tibetnetwork.org/campaign-dhondupwangchen

http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51289976.html

テンジンテンジン・デレック・リンポチェ 無期懲役
1950年生まれ。
リンポチェは地域のチベット人遊牧民の福祉、医療、教育、宗教施設を整えるために身を粉にして働いた。
篤い尊敬を集める宗教指導者だ。
彼のチベット人社会を勇気づける努力は、地域のチベット人たちに広く認められるようになった。
一方、この人気の故に、中国政府は彼の監視を強めていた。
彼は2002年、成都の爆発事件に関わったとして死刑を言い渡された。
その後、死刑から無期懲役に減刑された。
http://www.tibetnetwork.org/campaign-tenzindelek

http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51316419.html

http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51377516.html

ペルジョル・ノルブパルジョル・ノルブ 81歳 刑期7年
彼は長年、木版刷りの経典(ペチャ)作りに携わり、その分野の第一人者であった。
2008年10月、チベットの国旗など、禁止されているものを印刷したとして逮捕された。
このままだと獄中で死を迎える可能性が高い。
http://www.tibetnetwork.org/campaign-paljornorbu

http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51137594.html

ロンゲロンゲ・アダ 刑期8年
2007年8月1日、遊牧民である彼はカム、リタンで行なわれた競馬祭のおり、数千人のチベット人を前に「ダライ・ラマ法王がチベットにお帰りにならない限り、宗教の自由はなく、我々に幸せはやって来ない」と演説し、聴衆の喝さいを浴びた。
彼は直ちにその場で逮捕された。
http://www.tibetnetwork.org/campaign-ronggyeadak

ノルジンノルジン・ワンモ 30歳 刑期5年
彼女は教育のあるチベット人女性としてアバ、トチュ(黒水)の司法事務所で働いていた。彼女は作家でもある。
2008年、外国にネットと電話でチベット内部の状況を知らせたとして5年の懲役刑を言い渡された。
http://www.tibetnetwork.org/campaign-norzinwangmo

http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51137594.html

ゴンポゴンポ・ツェリン 32歳 刑期3年
彼はチベットでは有名な登山ガイドだった。
2009年、外国に2008年3月のラサ蜂起についての情報を流したとして刑期3年を受ける。
http://www.tibetnetwork.org/campaign-gonpotsering

ロプサンロプサン・テンジン 刑期20年
ラサ大学の学生であった彼は1988年3月5日のラサ平和デモに参加した。
その後、警官殺害の罪を着せられ、他の5人と共に裁かれた。
最初死刑、後に終身刑、最後的に20年の刑とされた。
2013年まで刑期は続く。
http://www.tibetnetwork.org/campaign-lobsangtenzin

http://herotest.soundsoftibet.com/profiles/lobsang-tenzin

バンリ・リンポチェバンリ・リンポチェ 52歳  刑期18年
リンポチェはラサで孤児院を運営していた。
逮捕された1999年には60人ほどの孤児がいた。
孤児院増築の現場で働いていたタシ・ツェリンという一人のチベット人が1999年8月、腹に爆弾を巻き、ポタラ宮殿前広場にある中国国旗を降ろし、チベット国旗を掲揚しようとした。
チベットの国旗を揚げることに失敗し、爆弾に火をつけようとしたがこれにも失敗したという。
タシ・ツェリンは逮捕されたのち拘置所で間もなく死亡した。
この事件の後、リンポチェの孤児院から多くの逮捕者がでた。
彼は「国家分裂を企てた」として最初無期懲役、後19年から最終的に18年の刑とされた。
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51019116.html

http://www.tibetnetwork.org/campaign-bangririnpoche

サンゲ・ラモサンゲ・ラモ 26歳 刑期2年
彼女は2008年5月カム、カンゼ市内で他2人の尼僧と共にパンフレットを配りながら、「ダライ・ラマ法王に長寿を!」「チベットに自由を!」と叫びを上げた。
直ちにその場で武装警官隊に袋叩きにされ、逮捕された。
http://www.freetibetanheroes.org/home.php/profiles/sangye-lhamo

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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