チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年11月27日
チべット人作家クンガ・ツァンヤンに5年の懲役が言い渡される
以下、ロンドンのえり様が翻訳してくださいました。
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2009年11月19日ダラムサラ発;
チベットからの情報によるとチベット人作家兼写真家のクンガ ツァンヤンが“国家機密を漏洩した”罪に問われ5年の懲役を言い渡されたことを、チベット民主化、人権団体が発表しました。11月12日、甘 省、甘南チベット族自治州 カニホ(甘南)中級人民法院で行われた秘密裁判の判決で5年の禁固刑判決を言い渡された証言情報が確認されたことを先出のチベットの人権をモニターしているNGOが発表。
http://www.tchrd.org/press/2009/pr20091119.html
クンガ ツァンヤンはアムドにあるラブランタシキル僧院の僧侶でもあり、当初3月12日に“チベットに関する政治的な文章を発表した”罪で逮捕されていました。
“雪の国の太陽”(チベット語でGang-Nyi)のペンネームをもつクンガ氏はチベット人新世代の記録者であり、情熱的な作家、エッセイスト、アマチュア フォトグラァーと先出のチベット民主人権団体は彼を紹介しています。
クンガ氏は青海省のゴログ・チベット族自治州チグドリル県の出身で、チベット中を旅しながらチベット高原の環境破壊の状態を写真に収め記録していました。
Nyenpo Yutsae kyekham 環境保護団体に属しながら、“誰が本当の分裂主義なのか?”、“「安定」を破壊しているのは誰だ”や“抗議行動の真の首謀者は誰だ?”と言った数々のチベットについて大変勇敢で、感動的なエッセイを発表しています。
先出の人権団体によるとこの地区での昨年の大規模な抗議行動が起こって以来 甘 省、ラブラン タシキル僧院のクンガ氏は中国当局の監視下にあったとされ、彼の家族や友人らは先週の裁判まで,彼の消息を全く知らされていなかったことを報告しています。
中国政府は“国家機密”の 起訴内容を明らかにする必要がなく,“国家機密”に関する法律や規則は、共産党の管理する政府機関と公安が一緒になって施行し、“国家機密”を漏洩または入手したとして、犯罪として立証する不透明なシステムを作り上げています。
中国の人権を監視する団体 Human Rights in Chinaの発表では、政府の癒着から来る秘密管理と、公的な国家機密管理とで、中国共産党指導者らにとって都合の良い情報が国家機密と見なされ、必要に応じて、すでに公開されている情報でも、流布を止めることができます。国家機密法と規則は、その内容により一般に開示されておらず犯罪に問われた場合、その個人が違反した内容を知ることは非常に難しく、中国首脳陣の呼ぶ所の“協調性のある社会”とは、批判の声を発する者は厳重に取り締まられるという管理社会を指す。
以下のリンクはHuman Rights in Chinaの2007年6月12日の報告書; ‘国家機密:,’中国の法的迷路
http://hrichina.org/public/contents/press?revision%5fid=41505&item%5fid=41500)
2008年3月以降チベットで起きた抗議行動に付いて声を挙げる者を黙らせるため中国政府は取り締まりを強化しており、取締りの際に起きている拷問、蒸発、殺害などの隠蔽行為を強化させています。
クンガ ツァンヤン氏、クンチョック ツェペル氏ら政治囚は、米国オバマ大統領訪中の直前に判決を受けており、中国はチベット文化や宗教に対する取締りを、確実に強化させています。現在ではチベット人のアイデンティティーに関する表現はほぼ「反動主義者」や 「分裂主義者」のレッテルを貼られ長期にわたる懲役または,それ以上の刑に問われます。チベット人文化人、作家やブロガーで、現状に対して自己の意見を表現する者は以前より高い危険を伴い、“蒸発“したり長期に渡る禁固刑を言い渡
されている報告が寄せられています。
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法王は今日もダラムサラから40キロほど離れたパランプールという所で開かれていた眼科医の会議に出席されました。
ところで、オバマ氏との会談は年内には行われず、来年初めになりそうだとのこと。
法王は12月1日から10日まで、オーストラリアとニュージーランドを訪問されます。
法王庁のテンジン・タクラ氏の話では、「法王はこのところの強行軍でお疲れ気味なので今年はもうアメリカまでは行けない」とのことです。
今、ニューデリー空港。
もうすぐ成田行きフライトに乗ります。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)