チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年8月27日
台湾の馬総統、ダライ・ラマ訪問に同意
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp1-20090827-536046.html
台湾の馬英九総統は27日、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の訪台について、台風8号の被災者への慰問が目的だと述べ、31日からの訪問を認め、ビザ(査証)を発給する考えを明らかにした。被災地を視察中、記者団に語った。
ダライ・ラマは昨年12月にも、台湾メディアに対して訪台の意向を示し、対中関係改善に力を入れる馬総統が拒否。今回は、大雨被害の対応の遅れに強い批判を受けていることもあり、受け入れに同意せざるを得ないと判断したとみられるが、中国が反発するのは確実で、今後の中台関係に微妙な影響を与える可能性もある。
27日付の聯合報によると、馬政権は「宗教活動に従事すること」を条件に受け入れを決めた。
ダライ・ラマは9月3日まで南部に滞在し、被災地を訪問する予定。今回の訪台は、特に大きな大雨被害が出た高雄県や屛東県など、南部にある7つの自治体首長が要請。ダライ・ラマも快諾した。南部は対中強硬路線の野党、民主進歩党(民進党)の支持基盤で、首長らも同党出身。
ダライ・ラマは1997年と2001年に訪台し、李登輝元総統、陳水扁前総統と会談。馬総統とも台北市長時代に会ったことがあるが、総統府スポークスマンは27日、馬総統との会談については未定と話した。(共同)
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台湾の人々は台風に苦しんだが、お陰で法王に会うことができるというわけです。
台湾におけるチベット仏教熱は中国も恐れるほどです。
特に南の高雄あたりには数百人のチベット僧が闊歩しているのです。
台湾の法王ファンにとっては待ちに待った、久しぶりのチャンス。
今回もどこでも会場は超満員、数万人の聴衆を集めることでしょう。
中国の反応が楽しみ?です。
BBCでも朝からこのニュースをやっています。
それにしても、台湾では日本と違って地方自治体自体が法王を招待するようです。
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先日のウーセルさんのポタラの記事中、訂正あり:
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51256899.html
中ほどの一文、
「たとえば1996年、1100年続いた雪村のポタラを(模したもの)を失ってしまった」
という部分ですが、「雪村」とはポタラの麓にあった「ショル(シュー)村」のことと判明。かつてチベット政府の役所、役人の住宅、職人集落、学校などのあった場所です。ですから、正しくは
「たとえば1996年、1100年続いた(ポタラ宮に付属する)ショル村を失ってしまった」
となります。
しかし、「ショル(シュー)」とは「下、麓」という意味で「ポタラ山の麓の村」と理解できますが、そこをなぜ漢語で「雪村」と書くかというと、「雪」は中国語で「シュエ」と発音されるので、音を取ったということです。
「雪」はとっくに溶けて消え去ったというわけです。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)