チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年8月21日
2008年3月10日、ラサでデモを先導したセラ僧院僧侶のその後
昨年3月10日、デブン僧院の僧侶たちはラサに向かう途中で警官隊に阻止されたが、セラ僧院の僧侶14人はラサの中心ジョカン寺の前で中国政府に対する抗議の声を上げることに成功した。
この小さな炎がその後14日のラサ大蜂起を引き起こし、そしてその炎はカム、アムドへとチベット中に飛び火して広がって行ったのだった。
この日のデモに偶然参加し、そのすぐ後、ラサを離れ亡命することに成功したガワンという16歳の女の子に会って、話とその時の絵を描いてもらった話は以下の昨年のブログに報告しています。
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/2008-06.html?p=2#20080615
「絵は一度も描いたことがない」と言いながら、中々描きたがらなかったところを無理に描かせた絵です。
この中、赤い服(僧衣)を着た二人が抗議活動扇動中のセラ僧院の僧侶とのことです。
みんな顔が笑っているところが泣けます。
この子もNHKに取材してもらったのですが、絵が下手過ぎたのか、取り上げてもらえませんでした。
ところで、今日Voice of Tibet radio serviceがこのときデモをした14人の内3人のセラ僧院の僧侶たちの消息を伝えています。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=25377&article=Four+Tibetan+monks+sentenced+up+to+ten+years+in+prison
チベットの国旗を掲げ、チベット独立を叫んだ14人は全員その場で逮捕された。
そのうちザチュカ、セルシュル出身のロドゥの家族は今年4月に当局からロドゥが10年の刑期を受けたと言うことを知らされていたが、決してそのことを外部に知らせないようにと脅されていた。
7月14日、ロドゥの家族がラサのチュシュル刑務所に彼を訪ねた折、彼の僧院仲間のロプサン・ゴドゥップ29歳とマンゲ・スパ30歳がそれぞれ5年の刑を受けていることが判った。
しかし、このとき一緒に逮捕された他の僧侶たちの消息は依然不明のままだという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)