チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2009年1月30日

ナムチェ・バザール

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エベレスト
昨日の昼過ぎ、エベレスト街道の入り口、ナムチェ・バザール3450mに到着した。カトマンドゥからルクラへのフライトではランタン、ゴリシャンカール,チョウオユウ、エベレスト等ヒマラヤの名峰を満喫した。

ルクラからナムチェまでは一日でも行けるが、ボーターくんに気を使って二日行程にした。
二日懸かると主張するボーターくんに「一日で行けるよな、、、」と大きなこと言ってた本人の私が何と、その日の午後には早くも足を引きずるはめに陥った。
右膝の裏の筋が痛み始め、次の日には右足を曲げることがほとんど不可能状態になった。それでも左右の杖をフルに使いナムチェまで何とか登り切りました。
先が思いやられます。腰からきたのか、かつて経験のない痛みです。
タンセルク
途中タンセルク6808mとかエベレスト8850(昔は8848mでしたが今は2m高くなった!)を望むことができました。

ナムチェは思ったより余程温かで快適。朝方−2、3度、昼間は20度ぐらい。空は抜けるように真っ青、車はもちろんないので一日中とても静か、夜は満点の星空です。
もうここはチベット、タルチョが至るとこに旗めきゴンパも数カ所あります。
夕方軽く頭痛がありましたがこれもチベットに入った証拠、何でもありません。
夕方、丘に登り懐かしい夕映えのカンテガ6685m、アマダブラム6856mの姿を長いこと眺めていました。
アマダブラム
思い出せば20数年前、5歳になる長女、エベレストベースで4歳の誕生日を迎えた長男、それに生後6ヶ月の二女を背負い、子どもたちの母親と共にエベレストやローツェ方面を歩いたことがあった。
特にローツェベースに近いチュクンが気に入り一週間以上いた、そこに住もうかとも思ったほど素晴らしいとこだった。
小さな子どもたちは少しの食事しかとらないが最後まで元気に歩き通した。
大人より子どもの方が余程効率がいいようだ。

今日は、20年間このナムチェでナンパラを越えてくる亡命チベット人たちを 
助け続けて来たS氏に会い、ゆっくりとこれまでの苦労話等を聞いた。
私たちのように、ナンパラを越えてくる亡命チベット人と出会うことを目的にこのルートを採る者はこれまでにも沢山いた。特にアメリカ人は私が知っているだけでも3グループが詳しいレポートを書いている。

S氏もアメリカ人に付き合い二度ナンパラまで行ったことがあると言う。
しかしそのうちの一グループは高山病に掛かり峠まで行けなかったとか。もう一つの方は首尾よく峠の近くで向こうから降りてくる難民に出会うことができたそうです。
そんな酔狂なことを思いつく日本人は我々がもちろん初めてだそうです。

2000年以降、毎年この峠を越えてくる難民は200〜300人いたそうです。二月にはいつも4、50人が越えて来た。
ところが、去年は3月以降今までにこのナンパラを越えて来た難民はたったの14人。最後は今年1月10日に3人が越えて来ただけだそうです。
その3人はカム、カンゼから父親と9歳と12歳の男の子がガイドなしで越えて来た。
去年からこのルートをかつてのようにガイド付きの大勢のグループが来ること
は全く無くなったとのこと。

つまり私たちも空振りの可能性が強いということです。
それでも、ここまで来たのだし、峠で少なくともチベット国旗を掲げ<プーゲロー!>を叫ぶとこまではやるでしょう。

彼から沢山興味深い話を聞きました。その話は明日にします。
何と、ここではネットに繋げるのに一時間900ルピー!(今、円は強いがそれでも1100円)里ではたったの80ルピーが相場なのにです。
ついでに充電は一時間100ルピーです。ホットシャワーが150ルピー。
泊まりはたったの150ルピーなのにです。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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