チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2009年1月27日

明日からヒマラヤの中。 チャムドでデモの後拷問死。

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ced26bab.JPG以下の文面は昨日書いたものです。
とうとう昨日は電気もネットもだめでした。

ーーー

昨夕、日本からN2氏が到着した。
夜はカトマンドゥ露天風呂!と川魚定食を堪能した。
ダラムサラでは夢にも見てはいけないものばかりです。

今日は朝からナンパラ行きのパーミット、UNHCR(難民高等弁務官事務所),ネレンカン(チベット難民一時収容所)と一周した。

ナンパラ行きのトレッキングパーミットは驚くほど簡単、かつたったの1000ネパール・ルピーだった。これには少し拍子抜け。
申請書にナンパラと書こうかどうか迷ったぐらいでしたが、係官は書面を見ることも無くあっと言う間にパーミットが渡されました。

収容所には20人弱のチベット人が今います。
例年に比べ、非常に少ない人数です。
去年まで、この時期には数百人の難民が収容されていたのです。

ナンパラについては、今年は特にこの峠を越えてくる人は少ないとのこと、判ってはいたことだが、、、行っても無駄足に終わる可能性が強いということです。

ただ、一つ、もしかして、、、の情報を得たので、やっぱり行くことにして、さっそく明後日の早朝のフライトを予約しました。

ドミには子供も7,8人いて、みんな元気にはしゃいでいました。

明日は朝から何も山道具を持ってきてない私は一式買うなり、借りるなりしないといけません。借りれるのは寝袋とジャケットぐらいです。ただ、他の山用品は、質もまあまあのものが非常に安く買えます。
アイゼンとか買ってもしょうがないのですがね。
今、N2氏とアイゼンは必要かどうかで議論中です。チベット人が本当に簡単な靴で越えてくる峠にアイゼン付けて行くべきかどうか!?
私は腰も痛い老人だから、峠までは行けないかなと思ってますが。

ーーー

さっきから電気が来るのを待っているのですが、今日は予定の夜8時になっても来ないもう9時になる、ネットもできないので、、、、
もう一つ別の話を、

昨日の午後と今日のネレンカンと、ガンデン・タシというちょっと有名な元政治犯と一緒でした。彼とは9-10-3の会を援助し始めた10年前からの友人です。
アムネスティーの助けを得て8年?ほど前にもう一人の尼さんと一緒に彼を日本に招き、全国九州から北海道まで20か所以上の町で「拷問証言会」を開催したことがあります。
私も多くの町に通訳として同行しました。
アムネスティー側でその時いっしょに働いてくれていたのが<ばなな猫>さんです。

大体二人を選んだのが自分たちでしたから、特に時に暴れん坊のタシの監督には気を使ったものです。

彼は1988年3月、ガンデン僧院僧侶の先頭に立ってデモを扇動したのだった。
新年モンラム祈祷祭の最後の日、式典に列席していた自治区幹部たちの胸ぐらをつかみ「チベットは独立だよな!!そうみんなに言え!!!」と真っ先に迫ったやつなのです。
それから一気にデモが大きくなっていった。

彼は最初3年の刑だった。しかしダプチ刑務所内で行われた大きな抗議デモの時にまた派手に立ちまわったが故に刑期がさらに9年延期された。
それだけではなく、それから何と17か月間、重い鉄の足枷をはめられたのだ。
24時間17か月はめられっぱなしだった。
足の肉はすり切れ、骨も見えんかというほどにそれはひどい仕打ちだったという。
その後、足枷は外されたが、身体の衰弱は激しく、ついに病院送りとなった。
その頃の車いすに乗って痩せこけた、本当に弱よわしい当時の写真が海外に流れた。
アムネスティーは彼を自由にするために特別のキャンペーンをおこなった。
其の功あって、彼は病院から2年後に解放されたのだ。

その後亡命しダラムサラの9-10-3の会に所属していた、彼は長年、監獄内での拷問の結果、脳に障害が残ったのか激しい頭痛を訴えていた。
それからTCHRCの職員として4年カトマンドゥで亡命してくるチベット人から情報を集める仕事を続けていた。
そして、イギリス女性と知り合いイギリスに渡り、カレッジに4年通い、去年からICT(インターナショナル・キャンペーン・フォア・チベット)に雇われてここで中国からの情報と亡命者からの情報を集める仕事をしている。
今日、お宅にちょっとだけお邪魔した。
2歳になる可愛い男の子がいて大きな家に住んでいた。
人生流転。
チベット人の人生はダイナミックです。

今日はもう電気は来ないようです。

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今日は一日中、山用品を買いあさりました。-30°用の寝袋も一万円です。
後で返せば半額帰るとか、すべて安いです。

明日の朝早くカトマンドゥを発ちルクラに飛びます。
ナムチェで、もしかしたら最後のブログを書くことができるかもしれません。
それにしても、当分このブログは休むしかありません。
残念だな、、、

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pema tsepak
1月20日にカム、チャムドのゾガン地区でデモを行った、3人のチベットの若者の内の一人ペマ・ツェパック、24歳は逮捕された後の暴行によりチャムド病院で死亡した。

http://phayul.com/news/article.aspx?id=23683&article=China+beats+Tibetan+youth+to+death

このところまたカム地方で、チベット人の捨て身のデモが頻発しています。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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