チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年12月7日
法王、サルコジ大統領と会談
今日朝からBBCでは、トップニュースの一つとして法王とサルコジ大統領の会談を伝えています。
法王がサルコジ氏にカタを掛けるシーンが繰り返し流れています。
これを見て、中国は「サルコジもダライ・ラマの犬になったな」と思ったことでしょう。
ーーー
<サルコジ大統領はダライ・ラマ法王に会うことで、中国にノーと言った>
GDANSK ,Poland
Phayul.com 経由ロイター伝によると、
http://phayul.com/news/article.aspx?id=23373&article=Sarkozy+defies+China+with+Dalai+Lama+talks
フランス大統領ニコラス・サルコジ氏は土曜日(12月6日)、ダライ・ラマ法王と会談したことで中国の顔に泥を塗ったdefied。
大統領は「ヨーロッパは、祖国の状況に対するチベットの精神的リーダーの憂慮を共有する」と語った。
中国は「そのチベット問題を扱うアプローチは日和見主義的で、軽率、短絡的だ」と、この会談を非難した。
サルコジ氏は「チベットを中国の一部と認めてる。この会談を<大袈裟dramatize>にする必要はないではないか」とコメント。
30分ほど続いた会談の後、サルコジ氏は「会談は素晴らしいものだった、、、中国政府は、この会談が年末に行われることをはっきり知ってたわけだし、、」と話したとか。
新華社は、会談に対するコメントとして「この(双方の親密さの)進展は、中国人民の感情を害するのみならず、中国―フランス関係を傷つける、賢明さを欠いた動きだ」として非難した。
サルコジ氏は法王にカタを肩に掛けられ、迎え入れられた。
サルコジ氏は「法王は独立を求めていないことを明らかにされた」
「私は法王と中国政府との話合いに、どれほどの重要性を認め、そのために努力しているかを話した」
チベットの状況について質問され、サルコジ氏は「法王は私と共に彼のチベットに対する憂慮を共有した。ヨーロッパとその憂慮を共有した。チベット問題について我々は多くのことを話しあった」と伝えた。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=23370&article=Dalai+Lama+urges+dialogue+before+Sarkozy+meetingこの会談に先立ち、同じ6日、法王はワレサ元議長、欧州議会議長ジョセ・マニュエル・バロッソ氏、ポーランド首相ドナルド・トゥスク氏、その他のノーベル賞受賞者をはじめとする数百名に登る代表団を前に講演された。
その中で法王は
「前の世紀において、戦争が問題を解決しないということが証明された。
故に、今世紀は対話の世紀にしなければならない。すべての問題は、相手の利害と、相手の権利を理解した上での、話し合いにより解決されねばならない」
「戦争とは分裂であり、慈愛は我々を結び合わせる。社会的動物である我々の人生・生命のキイファクターは慈愛だ」と語られた。
ーーー
ポーランドはワレサ議長の下に<連帯>し、1989年ついにソビエト傀儡の共産党政権を打倒した歴史がある。
ワレサ氏とは法王もさぞかし話がはずまれたことでしょう。
サルコジ氏はこれまでは奥さんと、うるさいフランス人に押される形で法王に今回会ったわけですが、法王のカタを受け、直接話を交わしたことは今後の彼に相当の影響を与えずにはおかないでしょう。
これで、ヨーロッパのボスも議会も、アメリカのボスも議会も法王とチベットのファン、味方であることを表明したわけです。
これ以上に法王のお仕事はまだあるのかな?
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)