チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2008年10月25日
TCV(チベット子供村)創立48周年記念日
今日はTCV(Tibetan Children’s Village チベット子供村)の創立48周年記念日。
手術をされた後のダライラマ法王も御出でになるということで、ダラムサラの住民はこぞって朝早くからTCVへの森の中の長い道を歩いて行きました。
外国からのプレスも大勢集まっていました。
TCVは1960年に法王が亡命後初めて孤児院をお始めになったのが始まりだ。
法王は自伝の中でこの時のことを語っておられる。
「ある時には120人の子供たちが唯一つの小さな部屋に押し込められていた。
子どもたちは一つのベッドの上に縦に5~6人が並べられ眠るのだった。
こうして縦にすれば、沢山入るというわけだ。
確かに状況は厳しいものがあったが、私は心に喜びが沸いてくるのを抑えられなかった。
それは、親を失い、貧窮の底にありながらもそこには、自分たちの困難を嘲笑っているかのような笑いと喜びが満ちていたからだ」
今では17000人の子供を教育する、亡命社会でもっとも成功した最大の組織となった。
このうち両親が現在チベットにいるものが70%、亡命社会にいるものが30%だ。
実際この学校は中国に対する(知的)戦いの希望を一身に担っているともいえる。
法王がスピーチされました。
以下はその一部分です。
「我々が亡命して、50年が経とうとしている。
人生に例えるなら50年は長い。
私はこんなに長くなるとは思っていなかった。
59年の3月16日にラサを離れた。
我々は帰るという目的のがあって今ここにいるのだ。
私ははじめから寺を建てることより学校を建てることに熱心だった。
仏教だけを知っているとか、西洋式の学問だけを学んだものは、半分の知識しかないことになる。この両方を合わせた知識が求めるべきものだ。心を知り外を知るのだ。
今特に、チベット社会には、現実に即した知と意味を知る行動が求められている。
今年チベットでは僧侶のみならず、老若男女、あらゆる職種の人々が、中国に対して立ち上がった。
中国政府は今回も期待はしたが、結局またも現実を認識しようとしなかった。
中国のように口では民主、現実は独裁という嘘はよくない。
チベットは口先ではなく真に民主的でなければならない。
そういう意味でも、近々行われる会議には期待している。
二週間ほど前に手術をしたが、今はいたって元気だ。心配しないでくれ。
胆石を取っただけだ。これは昔からあった石だがもうない。
ダラムサラに帰って来た時には大勢の人たちが迎えてくれてうれしかった。
入院中には多くの人が集まり私のために祈祷してくれたと聞く。
気を使ってくれてありがとう。
、、、」
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ミスTCV?
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)