
チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2017年5月20日
<速報>チェンツァで22歳僧侶焼身・死亡 内地150人目
生前のジャミヤン・ロセル
5月19日付RFAによれば、現地時間同日午前5時頃、アムド、チェンツァ(གཅན་ཚ་རྫོང་། 青海省黄南チベット族自治州尖扎県尖扎)市内にある人民病院近くの路上で22歳の僧侶ジャミヤン・ロセル(དབྱངས་བློ་གསལ། )が中国のチベット支配に抗議する焼身を行い、その場で死亡した。
ただちに現場に警官隊と軍隊が集まり、遺体は運び去られた。これを知った家族が警察署に行き、遺体の引き渡しを要求したが、拒否されたという。
ジャミヤン・ロセルはチェンツァの街から南に30キロほどのところにあるナンラ村ケルテン僧院の僧侶。この僧院には約20人ほどの僧侶が所属するという。
事件後、ツェンツァには厳戒態勢が敷かれ、その他の情報は入っていない。
内地における焼身抗議者の数が2009年以来これで150人になった。内外合わせれば156人である。
中国当局は無視を決め込み、亡命側も無策である。弾圧に起因する対立と緊張の出口はどこにも見つからないまま、悲しいことに犠牲者だけが増えて行く。
参照:5月19日付RFAチベット語版 及び英語版
筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)