
チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2017年11月30日
カンゼで63歳の僧侶が焼身抗議・死亡
29日付ラジオフリーエジア(RFA)などによれば、11月26日、四川省カンゼ(甘孜)チベット族自治州カンゼ県カンゼの街中で、カンゼ僧院僧侶テンガ(63、བསྟན་དགའ། )が中国政府のチベット政策に抗議するための焼身を行い、その場で死亡した。目撃者によれば、彼は焼身中、チベットの自由とダライ・ラマ法王のチベット帰還を訴えたという。
事件後、当局がいつものように地域の電話、ネットを遮断したことにより、情報がつたわるのが遅れたと言われる。
僧テンガはカンゼ県ダド村(མདའ་མདོ།)の出身。幼少時に両親が亡くなり、早くよりカンゼ僧院に入っていたという。近隣の村々で彼はいつも法要の中心的役割を担い、村人たちから尊敬されていたという。
僧テンガは2005年、インドのアムラバティで行われたダライ・ラマ法王が導師を務めるカーラチャクラ法要に参加していた。
僧テンガは内地における151人目の焼身抗議者。内外合わせて159人目。7月29日にダラムサラでパッサン・ドゥンドップ(48)が焼身死亡して以来、およそ4ヶ月ぶりの中国政府に対する焼身抗議である。
参照:11月29日付RFAチベット語版
同英語版
11月29日付Tibet Times チベット語版
筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)